
K-POPでは、毎年のように新しいグループがデビューしています。
その一方で、デビューを目指して歌やダンスなどのトレーニングを続ける「練習生」を取り巻く環境には、変化が起きています。
韓国の芸能事務所に所属する練習生は、ここ数年で大きく減少しました。なぜ、練習生の数は減っているのでしょうか?
そもそも、いま練習生って何人いるの?
韓国の芸能界では、デビューを目指してトレーニングを続ける「練習生」が数多く存在します。
歌やダンスなどのレッスンを受けながらデビューを目指す練習生ですが、実はその数はここ数年で大きく減少しています。では、韓国の芸能事務所には現在、どれくらいの練習生がいるのでしょうか?
韓国コンテンツ振興院(KOCCA)の調査を見ると、ここ数年で練習生の数が大きく減少していることが分かります。
- 2020年:1,895人
- 2022年:1,170人
- 2024年:963人
2024年時点で、韓国の芸能事務所に所属していた練習生は963人でした。これはK-POP事務所だけの数字ではなく、韓国の大衆文化芸術企画業全体を対象とした数字です。
そのうち、歌手を目指している練習生は613人。K-POPだけに限定された数字ではないものの、歌手志望の練習生が全体の6割以上を占めています。
なお、963人のうち外国籍の練習生は42人でした。韓国の芸能事務所全体で見ると、外国籍の練習生も一定数いることが分かります。
では、韓国の芸能業界ではなぜ練習生がこれほど減っているのでしょうか。その背景には、いくつかの要因があります。
なぜ韓国の練習生は減っている?
韓国の芸能業界全体で練習生が減っている背景には、育成する側と目指す側の双方に、さまざまな負担があります。ここからは、K-POP事務所の事例も取り上げながら、その背景を見ていきます。
練習生1人にかかる費用は大きい
そもそも、1人の練習生を育てるには多くの費用がかかります。
JYPエンターテインメントが2024年に新人開発本部を通じて支出した新人開発費は11億2,430万ウォンで、前年から約30%増加しました。
事務所側は練習生の人数を公表していませんが、韓国日報の取材によれば、大手事務所の練習生規模はおおむね20人台とされており、30人程度と仮定して計算すると、1人あたり月およそ312万ウォンをレッスン費などに投じている計算になります。
これは、韓国の平均的な会社員の手取り月収(約290万〜300万ウォン程度とされる)を上回る金額で、デビューするかどうかもわからない10代の練習生1人に、大人ひとり分の給料以上を注ぎ込んでいることになります。
歌やダンス、外国語などのレッスンに加えて、寮や食事などの費用も考えれば、練習生を長期間抱えることは事務所にとって大きな負担になります。
実際、韓国コンテンツ振興院の調査でも、芸能事務所が抱える練習生の減少について、養成にかかるコストの負担が要因の一つとして挙げられています。
そのため、事務所側も多くの練習生を抱え続けるのではなく、将来的にデビューにつながる人材を見極めながら育成する必要性が高まっていると考えられます。
練習生になっても途中で離脱するケースが増えている
一方で、練習生自身が途中で辞めてしまうケースも少なくありません。
韓国日報が報じた2022年の実態調査データによれば、すでに事務所に所属している練習生のうち、自ら辞退する「自進辞退」の割合は34.4%で、2020年の調査と比べて3.4ポイント上昇しているといいます。
つまり、練習生の数が減っている背景には、事務所側の育成コストだけでなく、練習生として所属した後に途中で自ら辞退するケースが増えていることも関係していると考えられます。
デビューまでには長期間のレッスンや厳しい競争があるため、練習生として所属したからといって、全員がデビューまで残るわけではありません。
こうした事務所側の育成コストと、練習生自身の離脱という両面から見ると、練習生の総数が以前より少なくなっている背景が見えてきます。
練習生になる前から費用がかかる
練習生の数が減っている背景には、練習生になる「前」の段階からすでにお金がかかるようになっている、という事情もあります。
歌やダンスを教える週末クラスの受講料は4週間で数十万ウォン規模で、大手事務所が運営するK-POPアカデミーの正規課程では、1学期に最大1,000万ウォン程度かかるケースもあると報じられています。事務所によっては、正式な練習生にする前に「練習生候補」として数ヶ月間指導し、適性を見てから練習生にするかどうかを判断する仕組みもあります。
つまり、事務所に入ってから育成が始まるのではなく、その手前の入り口に立つ段階からすでにレッスン費がかさむ構造になっているということです。
本人にどれだけ才能や意欲があっても、練習生になる前からレッスンなどの費用がかかれば、家庭の経済的な負担が、挑戦するうえでのハードルになる可能性があります。
まとめ
韓国の芸能事務所に所属する練習生は、2020年の1,895人から2024年には963人まで減少しており、わずか4年でほぼ半分になっています。
その背景には、1人の練習生を育成するためのコストが大きくなっていることや、練習生になってから途中で辞退するケースが増えていること、さらに練習生になる前から歌やダンスのレッスンなどに費用がかかることなど、さまざまな要因があると考えられます。
ただし、練習生の数が減っているからといって、K-POPそのものの人気が落ちているとは限りません。むしろ世界的な市場拡大が続く一方で、アイドルを目指す人材を育てる「入口」の部分では、以前とは異なる環境が生まれていると見ることができます。
今後は、限られた練習生の中からどのような人材がデビューし、K-POPの次の世代を担っていくのかにも注目が集まりそうです。

















